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トルコ素描
シトラス
一月だというのにシトラスはたわわに実っている。レモンは重そうに垂れ下がっていた。小ぶりのオレンジは、みな太陽の顔をしていた。それらを惜しげもなくこぼしながら荷車は野道をいくのだった。
アダナの月
小宴で、水を入れると白濁する酒(ラク)で酔ったトルコ人教授が「月の砂漠」を歌いだした。鳥取で二年住み、良い思い出があるらしい。宿舎へ帰る途中、ふと見上げると満月がモスクのドームを照らしていた。
長距離バス
五時間のドライブ。つたないトルコ語で隣席の二十歳の兵士と話す。休暇で帰省の途中だという。胸のポケットから婚約者の写真を見せ微笑んだ。軍用車両の運転係らしい。何処の国の若者も前途に平和あれと祈らずにいられない。
アバノス
昔、シルクロードでは二十キロごとに駅があった。隊商が休んだ町アバノス。奇岩、キリスト教徒が隠れ住んだ地下都市、鳩の谷・・・人だけが変わり、歴史舞台は変わらない。赤河のそばにある陶器工房では、「青い鳩は幸福を運んでくる」との売り口上を真に受けて、ひとつ求めた。
涙の壺
唯一、感情を殺す動物、人間。でも時々それができない。人知れずいかに涙が流れることか。ほこりっぽい店の片隅に売られている「涙の壺」。杏(あんず)しか育たない苛酷な地。貧しい暮らしでは嬉しさすら涙の素となる。
ボスポラス海峡
マルマラ湾の船影は動かない。みな、通過の順番を待っているからだ。黒海から出る船、入る船、それぞれに荷と人を乗せて何処へいくのだろう。海峡の幅は五百メートル。アジアとヨーロッパは声が届くほど近いのだ。
ブルーモスク
ビザンチン帝国の都、コンスタンチノープル。栄華の残響と、耽美の香りに酔い、身を任せて歩く。旧市街の壁や石畳。モスク天井のモザイク。聖なる場所の中心、ドームの中で時は止まっている。キエフ・ウィーン・ローマ・エルサレムを全方位、500キロ先に見ながら。
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